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No. 23 主任教授より 2015

 私が北海道大学大学院医学研究科 形成外科学分野主任教授を拝命してから、節目の10年目となります。これまでの教室運営にご協力を賜った多くの皆さま方に心からお礼を申し上げます。

 昨年も、当教室において大きなプロモーションがございました。10月1日付けで、古川洋志先生が北海道大学大学院医学研究科准教授に、そして舟山恵美先生が北海道大学大学院医学研究科講師に、それぞれ昇任されました。この人事により、我が教室の教員は、教授1名、准教授2名、講師2名、助教1名となり、これまでの教室史におきましても最も充実した布陣となりました。古川先生には、教室の研究、診療、教育、管理運営の全ての面で益々業績を積み上げ、来たるべき大勝負に向けて良い準備をして下さい。舟山先生には、我が国の臨床医学分野においては極めて少ない女性教員リーダーの一人として、確固たる自信と自負を持って邁進して下さい。

 さて、大学院におきましては、池田正起先生が卒業され、博士(医学)学位を取得しました。日本形成外科学会認定専門医は、新たに、蕨 雄大先生、川副尚史先生、本田 進先生の計3名が取得しました。これから、各位の活躍を心から期待しています。

 私の道内における公的活動として、昨年は他診療科と連携した新たな2つの勉強会を主催いたしました。8月に開催したV.A.C. Summit 北海道では、形成外科領域から発信した創傷治療における陰圧閉鎖療法を、胸部外科、腹部外科、整形外科、救急科等の幅広い領域において、正しくそして有益に活用して頂き、その有効性を伝えていくことを目標としました。そして11月には、北海道乳房再建研究会 2014を開催しました。昨年7月に、乳房再建用ティッシュ・エキスパンダー(皮膚拡張器)と乳房インプラント(シリコンゲル充填人工乳房)を用いた手術が、健康保険に収載されたことにより、乳房再建を希望される患者が急増しています。これからは、北海道全域の診療機関において、患者のニーズに応じた多くの乳房再建が行われていく時代になるでしょう。本研究会では、乳房再建が安全にそして良質に行われていくために、全道の乳腺外科医と形成外科医が一堂に会して、互いの治療分野の理解を深めて、良き連携を培っていくことを目標としました。これらの勉強会の開催に際し、各協賛企業を始めとした関係各位のご協力に心から感謝申し上げます。

 学会活動におきましては、2010年4月1日に日本創傷外科学会会誌「創傷」を創刊以来、6年間にわたり努めてきました初代編集委員長を辞すことになりました。本ホームページの“教授コラム No.22”に、私の編集委員長としての思いについて綴っておりますので、ご一読頂けますと幸甚です。さて、この度、私が会長として北海道大学医学部形成外科学教室が全国学会を主催させて頂く3度目の機会を賜りました。本年 9月に第3回日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会を札幌にて開催致します。オンコプラスティックサージャリーとは、癌の根治性を高めるために行う切除術と身体の整容性を高めるために行う再建術の融合を追求する概念を持った外科手術です。これまで、顔面の皮膚癌治療においては、形成外科医あるいは一部の皮膚外科医が、癌切除後に整容性を重んじた植皮術や局所皮弁術を用い、オンコプラスティックスキンサージャリーを行ってきました。近年、乳癌治療においても、癌切除後に変形や喪失した乳房の整容的再建の要望が高まり、乳腺外科医と形成外科医が協力して行う、乳房オンコプラスティックサージャリーへの注目が益々集まっております。第3回学会では、「想像を創造へ〜乳房再建 維新」というテーマを掲げ、教室員一同、実り多い学術集会となるよう準備を進めておりますので、何卒ご高配のほど宜しくお願い申し上げます。

 最後になりますが、今年は北海道大学医学部形成外科学教室創立50周年という記念の年となります。1965年に北海道大学医学部附属病院にて形成外科診療を開始して以来、半世紀が経過しました。昨年 5月より実行組織委員会を立ち上げ、現在、50周年にふさわしい記念事業を鋭意計画しておりますので、皆様方の大いなる御指導、御協力を賜れば幸甚に存じます。

2015年1月1日
山本有平

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