スタッフ

 教授挨拶  教室の歴史  年報  同門会 

No. 18 第28回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会〜挨拶

 

会長挨拶

The Cutting Edge in Skin Cancer
          − 皮膚がん治療最先端 −

第28回 日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会
会長 山本 有平
北海道大学 形成外科 教授

 北海道大学形成外科は、北海道大学医学部附属病院(現・北海道大学病院)皮膚科に診療班として誕生した歴史をもち、以来約半世紀に渡り、悪性黒色腫を中心とした皮膚悪性腫瘍学を、教室における臨床・基礎研究の柱の一つとしてまいりました。このような背景の下、この度、本学会の設立以来、初めて形成外科学分野が学術大会を主催させて頂くことを、教室員ならびに同門会員共々誠に光栄に存じております。この機会を与えて下さいました本学会の役員ならびに会員の皆様に対し、心から厚く御礼申し上げます。

 本学術大会では、メインテーマを「The Cutting Edge in Skin Cancer —皮膚がん治療最先端—」として、皮膚悪性腫瘍およびリンフォーマの集学的治療を中心とした多くの新企画、幅広い分野からの教育的プログラムを設けました。“Cutting Edge”という言葉には、その意味通り“先端の診療・研究”と共に、皮膚腫瘍治療において極めて重要である外科的切除の幹となる“メスの刃先”への熱い思いを込めております。

 海外からの特別講演として、Melanoma Institute Australia, University of Sydney の Jonathan Stretch 教授をお招きし、メラノーマ治療の現況そして展望について最新の知見をお話しして頂きます。基調講演「皮膚悪性腫瘍医としての道程、そして提言」では、皮膚科、がんセンター、形成外科より、それぞれの領域を代表される大原國章先生、山葡シ也先生、吉田哲憲先生にご講演をお願いいたしました。我々の施行する郭清手術は主に、頭頚部では顔面、腋窩では上肢・体幹、鼠径・後腹膜では下肢原発の皮膚がんを対象としたものであり、頭頚部外科、乳腺外科、泌尿器科領域の郭清手技とは、取り扱う臓器・疾患が異なっております。皮膚に特有のリンパ流などを考慮に入れた、皮膚がんに特化した郭清範囲・手技を標準化することは重要な命題であり、手術手技ビデオシンポジウム「リンパ節郭清術:皮膚がんに特化した郭清範囲とは?」を企画いたしました。次に、「Unfavorable result cases〜 明日の治療に向けて」と題した教育コースでは、「治療」と「診断」に分けて、経験豊富な先生をお招きし、敢えて自らの苦い経験を提示して頂き、皮膚腫瘍医を目指す若き医師たちへ、明日の治療の糧になる知識やメッセージを発して頂きたく存じます。さらに、特別企画「緩和医療と皮膚 2012年」、そして5つのパネルディスカッション、「リンフォーマの画像診断と新規治療のプラクティス」、「Sentinel lymph node navigation surgery〜新たな取組みと工夫」、「皮膚がん治療におけるチーム医療の現状」、「Oncoplastic Skin Surgery〜私ならこう治す!」、「薬物療法 Up-To-Date 2012」を予定いたしました。以上の特別プログラムは、岩月啓氏先生をはじめとした、20名の学術プログラムアドバイザーおよび熊野公子先生によるご尽力が大きく、心より深謝いたします。どうぞご参加頂きます皆様には、より多くのプログラムにて、活発なご発表ならびに質疑討論をお願いいたします。 

 おかげさまで、今回の学会では、形成外科領域からも多くの演題申請を得て、予想を上回る計 333 演題の応募を頂きました。会場数も5会場に増え、演題発表のスケジュールもタイトになりましたことをお詫び申し上げます。展示会場では、参加者の皆様にリフレッシュして頂くため、北海道産のハム・チーズ・ワイン・ソフトドリンク等をご試食、試飲頂けるコーナーを設ける予定です。皮膚悪性腫瘍の診療に真摯に取り組んでいる多くの皮膚科医、形成外科医、放射線科医、病理医等の皆様にご参加頂き、本学術大会が皮膚がん治療の将来展望ならびに良質な皮膚腫瘍医育成の一助になれば幸甚に存じます。

 会員の皆様のご協力に感謝申し上げるとともに、本学会の開催にあたりご助言、ご指導、そしてご協力を賜りました全ての方々に心よりお礼を申し上げます。さわやかな6月、ベストシーズンの北の大地を、学会とともにお楽しみ頂けますよう、北大形成外科一門、初夏の札幌で皆様を心よりお迎えいたします。

Previous<<< >>> Next