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No. 17 主任教授より 2012

 

 2011年3月11日に発生した「東日本大震災」は有史上未曾有の災害でした。同門会関係者も含まれている、被害にあわれた皆様に心よりお見舞いを申し上げるとともに、犠牲になられた方々のご冥福とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。また、この事態に際し救援活動、診療活動、原発修復等、ご尽力されている方々に敬意を表するとともに、被災された皆様の生活の一日も早い復興をお祈りします。我が国が直面したこの大試練に如何に立ち向かうか、我々は医療者・医学者としての英知を持って考え行動していきたいと存じます。

 神は乗り越えられない試練など決して与えません。頑張ろう、日本!

 昨年の最大のイベントは、7月に主催させて頂きました、第3回日本創傷外科学会総会・学術集会の開催です。私自身初めて全国学会の会長の任を賜った、記念すべき学会であります。
 日本創傷外科学会は、形成外科医が創傷を治療する専門家であるということを広く周知させ、さらに基礎・臨床医学より創傷治療を大きく発展させるために設立され、将来の形成外科の道標の一つになり得る重要な学会です。本会では、メインテーマを「傷を治すプロフェッショナル!〜きれいに傷を治す、治りにくい傷を治す、それは形成外科に課せられた使命〜」とし、3つのホールにて、講演ならびに研究発表の場を設けました。ホール名は、北海道の先住民族であるアイヌの言語より「ピリカ」・「カムイ」・「フラテ」と命名しました。“美しい”という意味を持つピリカホールでは、“きれいに傷を治す”に関連したプログラムを、“神”という意味を持つカムイホールでは、神業のように“治りにくい傷を治す”に関連したプログラムを、そして“仲間” という意味を持つフラテホールでは、多くの会員による一般発表を企画いたしました。
 海外からの招待講演として、中国上海市のFudan大学形成外科教授 Fazhi Qi 先生をお招きしました。彼は、1993年から5年間、北大形成外科に留学し医学博士を取得しました。その際、私が直接に研究指導を担当し、それ以来お互いに連絡をとりあう親友です。今では、彼は中国において昨年最も多くの形成外科領域の英文論文を発表した、新進気鋭の若きリーダーとなりました。
 学術集会では、計 242 の演題が発表され、招待者を含む総参加者は687名になりました。改めて、会員の皆様のご協力に感謝申し上げるとともに、本学会の開催にあたりご助言、ご指導、そしてご協力を賜りました全ての方々に心よりお礼を申し上げます。

 とても喜ばしい出来事を2つご報告します。教室では大学院生を中心とした基礎研究業績が順調に実を結んでいます。その中で、大澤昌之先生が、第29回北海道医学会賞を受賞されました。当教室からは初めての偉業です。京都大学へ何度も出向いて行った共同研究で、道のりが険しかっただけに喜びも一入でしょう。
 もう一つは、医局対抗バスケットボール大会にて、我が形成外科チームが見事優勝を果たしました。小山明彦先生を中心として、塩谷隆太先生がエースらしい大活躍をし、参加した教室員が一丸となって得た勝利です。私も“Phil Jackson”然としたスーツ姿の監督として采配を振るいました。小山GMのこれまでの苦節を顧みますと感慨深いものがあります。野球、サッカーと並ぶ北大病院3大スポーツ大会で、形成外科チームが初めて頂きに君臨しました。Congratulations !

 今年は、連続して全国学会を主催させて頂くことになりますが、第28回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会が6月に札幌にて開催されます。日本皮膚悪性腫瘍学会の設立以来、初めて形成外科学分野による学術大会です。その意義と重責を十分に感じながら、教室員ならびに同門会員と共に、実り多い学会となるよう準備を進めてまいりたいと存じます。何卒、皆様方の御指導、御協力のほど宜しくお願い申し上げます。

2012年1月1日
山本有平

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