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No. 15 第3回日本創傷外科学会学術集会〜挨拶

 

会長挨拶

傷を治すプロフェッショナル

〜きれいに傷を治す、治りにくい傷を治す、それは形成外科に課せられた使命〜

第3回 日本創傷外科学会学術集会会長
山本有平
北海道大学 形成外科 教授

 この度の「東日本大震災」におきまして、被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、犠牲になられた方々のご冥福とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。また、この事態に際し救援活動、診療活動、原発修復等、ご尽力されている方々に敬意を表するとともに、被災された皆様の生活の一日も早い復興をお祈りします。我が国が直面したこの大試練に如何に立ち向かうか、我々は医療者・医学者としての英知を持って考え行動していきたいと存じます。

 神は乗り越えられない試練など決して与えません。頑張ろう、日本!

 我が国に形成外科が登場してから半世紀以上を過ぎているにもかかわらず、一般市民の中には、“形成外科って何?”と問われる方が現在でも多くおられます。形成外科医が日々診療を行っている疾患分野を、国民全体にもっとわかりやすく知ってもらうことが、これからの形成外科にとって極めて重要な命題であり、そして、それが日本国民全体の医療レベルの向上、質の高い治療を受ける権利の向上に繋がっていくことと確信いたします。日本創傷外科学会は、形成外科医が創傷を治療する専門家であるということを広く周知させ、さらに基礎および臨床医学より創傷治療を大きく発展させるために設立されました。この度、将来の形成外科の道標の一つになり得る本学会の第3回総会・学術集会を主催させて頂くことを、教室員ならびに同門会員共々誠に光栄に存じております。この機会を与えて下さいました本学会の役員ならびに会員の皆様に対し、心から厚くお礼申し上げます。
 本会では、メインテーマを「傷を治すプロフェッショナル!」とし、3つのホールにて、ご講演ならびに研究発表の場を設けました。ホール名は、北海道の先住民族であるアイヌの言語より「ピリカ」・「カムイ」・「フラテ」と命名しました。“美しい”という意味を持つピリカホールでは、“きれいに傷を治す” に関連したプログラムを、“神”という意味を持つカムイホールでは、神業のように“治りにくい傷を治す”に関連したプログラムを、そして“仲間” という意味を持つフラテホールでは、多くの会員による一般発表を企画いたしました。海外からの招待講演として、中国上海市の Fudan大学形成外科教授 Fazhi Qi 先生をお招きしました。彼は、中国において昨年最も多くの形成外科領域の英文論文を発表した、新進気鋭の若きリーダーです。また、国内からは“きれいに傷を治す”をテーマとして慶應大学形成外科教授貴志和生先生に、“治りにくい傷を治す”をテーマとして神戸大学形成外科准教授寺師浩人先生に特別講演をお願いいたしました。さらに、役員の先生からご提案をいただき、「傷の評価と治療法の選択 pros and cons」と題した特別パネルディスカッションを企画しました。そして、2012年に開催予定の第4回世界創傷治癒学会連合会議のプロモーションセクション、本学会専門医制度における第1回の認定試験および教育セミナー、日本形成外科学会と横断的に連携しているガイドラインシンポジウムが計画されています。学術プログラム終了後には、外科系研修医向けの教育的企画として、皮膚縫合および顔面骨切りに関したハンズオンセミナーおよび創傷治療の啓蒙のために一般の方々への市民公開講座が同会場にて開催予定です。参加していただく皆様には、より多くのプログラムにて、活発なご発表ならびに質疑討論をお願いいたします。 
 おかげさまで、今回の学会では計 242 の演題応募を頂きました。その中で、時間の都合上、68 演題は e-poster として展示会場のライブステージにてスライドショー形式で公開いたします。展示会場では、北海道産のハム・チーズ・ワイン・ソフトドリンク等をご試食、試飲いただけるコーナーを設ける予定です。会員の皆様のご協力に感謝申し上げるとともに、本学会の開催にあたりご助言、ご指導、そしてご協力を賜りました全ての方々に心よりお礼を申し上げます。
 さわやかな7月、ベストシーズンの北の大地を、学会とともにお楽しみ頂けますよう、北大形成外科一門、初夏の札幌で皆様を心よりお迎えいたします。

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