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No.8 主任教授より 2007

 今年より新しく教室員・同門会員となる研修医師は、10名を超え北海道大学医学部形成外科学教室内に若々しい熱気が充満しております。これは、当科開設以来、史上最高の新人の数と思われます。

 当教室だけではなく、現在、全国的に形成外科研修の人気が高まり、非常に喜ばしいことですが、将来の形成外科医の質の向上や発展を考えますと、私を含め、指導的立場にある者にかかる責任が非常に重くなるものと存じます。

 一人前の形成外科医を育てるためには、1)医師としての倫理的教育 2)形成外科医学への学術的なアプローチ 3)質量ともに十分な臨床例の経験 4)日本形成外科学会への入会〜学会評議員2名以上の推薦要 5)日本形成外科学会専門医資格の取得、等が最低限の条件と考えられます。

 現在、多くの北海道大学医学部形成外科学教室員が、道内外の各施設にて形成外科診療に従事している現状を考え合わせますと、私は教室および同門会が中心となり、大学病院を含めた北大形成外科教育研修施設グループ全体による育成体制の維持およびさらなる改善が重要と考えます。そのために、新たに同門会・教室年報を発刊し、同門会懇親会・忘年会で親睦を深め、さらに研修施設長会議、北大形成外科最高運営会議・同門会役員会、同門会総会にて議論を進めてきました。今年は、同門会副会長の吉田哲憲先生が市立札幌病院院長に、本田耕一先生が時計台記念病院院長に就任され、医療機関の管理・運営部門におきましても形成外科医の果たす役割がより重要なものと認められ、とても誇りに思います。また、第8回北大形成外科アカデミーでは、“先輩に学ぶ”というテーマの下、多くの同門の先輩・後輩が集まり、非常に有意義な教育フォーラムを開催できました。今後も同門・教室を挙げて、更なる地域医療における形成外科の充実そして次代を担う形成外科医の育成に臨んでいければ幸甚に存じます。

 また、私が掲げている最重要課題の一つであります、教室員の “carrier up”に関して、2006年は、シドニー大学メラノーマユニットへ堤田 新先生を、弘前大学整形外科へ竹内章晃先生を、長崎大学形成外科へ皆川知広先生を留学として送り出すことができました。特にシドニー大学へは、私も表敬訪問し、シドニーの形成外科医達との親睦を深め、今後の本教室との関係も発展して行くことが期待されます。研究業績におきましても、佐々木了先生が、日本形成外科学会学術奨励賞臨床研究部門を受賞し、昨年に続いて当教室が2年連続受賞を果たしました。7月には、これまでの業績が認められ、佐々木了先生が当教室第6代助教授に昇任しております。また、全国の形成外科教室との交流もさらに深まり、神戸大学形成外科教授 田原真也先生、昭和大学形成外科教授 佐藤兼重先生、新潟大学形成外科 柴田 実教授が来訪され、さらに、岩手医大、東邦大、新潟大から情熱に溢れた若い形成外科医達が、当教室に勉強に来られ、当教室に集う皆が互いに切磋琢磨し、高いモチベーションをもって、診療・研究活動に研鑽していくことを期待しております。

 最後に、学術的な面以外でも、今年は傑出した成績を残すことができました。医局対抗サッカー大会において、我ら形成外科チームは、強豪の整形外科、第1内科、第2外科を撃破し、第3位となりました。私の記憶では、野球部門でもこれほどの好成績はなかったと思います。日頃の鍛練とチームワークの良さが勝因と考えられ、これは形成・再建外科分野におけるチームサージャリーの精神に繋がるものです。私には、日本ハムファイターズの日本一に匹敵するような“信じられない”出来事でした。

2007年5月1日
山本有平

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