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No. 7 教 室 〜 Living Effort

昨年の春に大きな変化がありました。私があるグループを主宰することとなり、そして新研究棟にそのグループの活動拠点がリニューアルされたのです。主宰とは、ある目的のために、志を同じくする人々の中心となって物事をまとめ、推し進めることです。私はまず、このグループの目的を考えました。それは、“立派な形成外科医を育成し、形成外科学を発展させる”ことです。言い換えると、地域医療に貢献する総合医の育成と先端医療を拓く学問の発展です。教育と学問を主たる目的とするならば、このグループの名称を“教室”にしようと決めました。大学から頂いている正式名称や病院における診療科名に並ぶものとして、北海道大学医学部形成外科学教室という名称を掲げました。次に、本教室の意義を学際的と社会的に分けて、総則として教室員にわかりやすく示しました。その中で、構成員とリニューアルされた活動拠点の名称を刷新しました。医師が集う場所という意味合いが強く、幾つかの報道によりダークなイメージとなった“医局”という言葉は使わないようにし、オフィス〜秘書室・応接室(旧医局)、GM: General Manager(旧医局長)、教室運営費(旧医局費)等の名称を採用しました。また、教室員の学際的な資質の向上を目指して、北大形成外科アカデミーという教育・学問フォーラムを立ち上げました。さらに年間における優秀な臨床・基礎研究論文を讚えるため、北海道大学医学部形成外科学教室賞として“北成賞”を設けました。そして、このグループにおいては、教授は日産のゴーン氏のようなCEOや日本サッカー協会の川淵氏のようなCaptainの役割を果たす立場に相当します。

 ここで、少し話題を変えます。ここ数年、大学や文部科学省・厚生労働省から“Working Effort”を問われる機会が増えています。わかりやすく言えば、個人にとって、ある仕事Aはその人の全体の労働時間において何%を占めているか?という割合です。私のような大学医学部臨床講座の教員は、1. 研究:臨床&基礎、2. 診療、3. 教育の活動が求められます。指導的な立場になると、さらに4. 管理・運営:学部&病院が加わります。それらに関する仕事をどれくらいの割合で遂げていくのかがWorking Effortです。これまで私は、5つ目の項目として家庭人・社会人としての役割を加え“Living Effort”として自分の24時間を考えるようにしてきました。教室員の皆にも、各人がこのLiving Effortをいつも意識することが大切であり、それは個人の年齢、勤務病院、職場における立場により常に変化していくものであることの理解を促しました。この度、私のLiving Effortが大きく変わろうとしています。自分にとってベストなLiving Effortを模索しながら、粛々と教室運営を推し進めていきたいと考えています。

〜形成外科48巻9号“随想”より 一部改編

2006年10月1日
山本有平

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