II. 遊離組織移植 free tissue transfer
ある組織を採取し、その主たる栄養血管と欠損部周囲の血管をマイクロサージャリーの技術を応用して吻合することにより、
「血流を保持した状態」で離れた場所に組織を移植する方法。
遊離組織移植の意義
" 皮膚は皮膚で、
・・・脂肪は脂肪で、
・・・・・・筋肉は筋肉で、
・・・・・・・・・骨は骨で、
・・・・・・・・・・・・消化管は消化管で再建する "
という解剖学的に理想的な再建が可能になる。
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代表的な遊離移植組織片と栄養血管
1.前腕皮弁;橈骨動静脈、橈側皮静脈
2.肩甲皮弁;肩甲回旋動静脈
3.前外側大腿皮弁;外側大腿回旋動静脈
4.広背筋皮弁;胸背動静脈
5.腹直筋皮弁;深下腹壁動静脈
6.肩甲骨皮弁;胸背動静脈、肩甲回旋動静脈
7.腓骨皮弁;腓骨動静脈
8.空腸;第2空腸動静脈
9.肝臓;肝動脈、(肝静脈、門脈)
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遊離組織移植による各種再建外科:頭頚部再建
1.瘢痕性禿頭に対する再建:
・・・組織拡張器を用いた頭皮の遊離組織移植
健側の頭皮を組織拡張器(エクスパンダー)で伸展
伸展された頭皮皮弁(栄養血管:浅側頭動静脈)を移植。移植頭皮より頭髪の成長が見られる。
2.上顎再建:上顎骨、頬骨に浸潤した悪性腫瘍の切除後の再建
拡大上顎全摘術後、広背筋皮弁+肩甲骨弁+肋骨弁(栄養血管:胸背動静脈)による硬組織と軟部組織の再建。
術後3DCT:良好な上顎の硬性再建がなされている。
遊離腹直筋皮弁(栄養血管:深下腹壁動静脈)にて舌と舌骨下嚥下筋群を再建。
運動神経を舌下神経に縫合し、舌の運動を再建。
前外側大腿皮弁(栄養血管:外側大腿回旋動静脈)を移植。潰瘍再発を防ぐため知覚神経再建も施行。
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