北海道大学病院形成外科では、平成21(2009)年5月7日より、整容・美容外科診療を開始しました。 加齢にともなう外見上の衰えを改善して、みなさまのQOLの向上に寄与できればと願っております。 ・
高齢化社会に突入した現代社会においては、高齢者にとって老後がどのように充実しているか、充実した生活を送るための身体と心のケアを十分に行えているかが、重要な課題となっています。抗加齢医療(アンチエイジング)は単に身体的な見た目を改善する医療ではなく、高齢者の生活の質の確保を目的とした医療であり、抗加齢医療による「シワ」「シミ」「皮膚のたるみ」を整容することによって心の改善を図り、潤いのある充実した生活を提供することが医療機関における重要な役割となっています。
一方で、一般的に美容整形と呼ばれる分野は、治療と言うよりは「二重まぶた」「乳房の形成」など身体的な不満(コンプレックス,美への欲求等)に対する対処療法的なもので、様々なトラブルが発生することもあり,医療機関には科学的根拠に基づく美容医療の実践・情報の提供が求められています。
また、近年、美容外科を希望する研修医、若手医師が非常に増加しており、医療教育機関には、良質な美容外科医の教育・育成に向けた臨床研修医に対する美容外科研修プログラムを構築し、倫理面を含めた臨床教育の実践が必要となっています。
このような背景から、ここ数年、形成外科に併設させて美容外科を設置した大学病院が増加の一途を辿っており、現在、国立大学法人で7病院、その他の大学で16病院に及んでいますが、北海道の主たる医療機関では未だ実施されていない状況です。
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道内の他基幹病院に先駆けて、本院形成外科に「整容・美容外科」を併設し、先端的な美容外科技術の開発や高齢者のQOL(quality of life、生活の質)の向上を目指した抗加齢医療における外科部門としての役割を果たすことで、本院の理念である良質の医療の提供、優れた医療人の育成、地域貢献に寄与したいと考えています。
整容・美容外科外来は特殊専門外来です。 完全予約制ですので、初診での受診は出来ません。
まず通常の形成外科の初診受け付けをして診察を受けてください。問診・診察の上、整容・美容外科の対象と判断された場合、整容・美容外科専門外来を予約していただき、後日受診していただくことになります。ご了承ください。
(2009年5月10日 北海道新聞朝刊一面掲載)