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なるほど!形成外科(10)

精神のケアにも
〜 多くの患者に良い治療を 〜

 外来に四十五歳の女性が来ました。二年前に乳がんを告知され、乳房を切除する手術を受けました。元来、明るく活動的な性格でしたが、片方のおっぱいがなくなると、水着やTシャツを着ることができず、温泉旅行にも行けなくなり、次第に気がめいることが多くなってきました。
 そんな時に、乳腺外科の医師に紹介してもらい、形成外科で乳房再建手術を受けました。手術は成功し、満足できるおっぱいがよみがえりました。自分のおなかの脂肪を使ったので、おなかの形も若返り、今では大好きだったマリンスポーツを楽しんだり、友達と旅行に行ったり、以前の楽しい生活と明るい性格を取り戻すことができました。
 形成外科は事故や病気で失った身体の一部分をつくり直す「再建外科」、そしてそれをより整った姿にする「整容・美容外科」の要素を持っています。
 さらにこの患者さんのように、形成外科手術を受けることにより、精神的にとても良い影響をおよぼす「精神外科」の役割も果たします。もちろんここでいう精神外科は脳に外科的な手術をすることで精神疾患を治す意味ではありません。
 精神外科は精神的に負に作用しやすい?見た目の老い?という悩みを取り除くアンチエイジング(抗加齢)医療の手術でも、大きな意味を持ちます。
 現在、医師を養成する大学医学部は全国で八十余りありますが、形成外科の講義・実習を学生に対し、系統的に行っているのは半数ほどしかありません。今後、より多くの大学医学部・病院に形成外科の講座・診療科が設けられ、大勢の学生・研修医が正しく学ぶことが望まれます。
 多くの医師が形成、再建、美容、そして精神外科の素晴らしい治療法を、より多くの患者に提供できるようになることを、医師教育を担う者として心から願っています。(山本有平)

イラスト・前橋康博

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