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なるほど!形成外科(5)

顔面神経まひ
〜 形を整え自然な表情に 〜

 五十代のTさんは朝、起きて鏡を見ると、突然顔の半分が動かず、表情を作ることができなくなっていました。この病気を顔面神経麻痺といいます。ウイルスが顔の筋肉を動かす神経を侵すことが主な原因です。このようなときは、すぐに大きな病院の耳鼻科を受診して、適切な治療を受けることが必要です。
 頭の中や耳の近くのおでき(腫瘍)を手術したあとや、事故で頭を骨折した場合にもこの病気になることがあります。特に笑うときにその違和感が目立ち、人前で笑うことができなくなる人もいます。
 「自分の顔が曲がっている」と訴える患者さんもいます。この病気にかかると十人中2〜3人はさまざまな程度で、不自然な顔の表情がいつまでも残り、その治療には形成外科手術が必要になります。
 Tさんの麻痺症状はその後、残ってしまい、人に会うのがおっくうになり、気分が落ち込みがちになりました。そのため耳鼻科の医師から形成外科を紹介してもらいました。
 形成外科で行う顔面神経麻痺の手術には、いろいろな方法があります。Tさんは下がっていた眉毛を上げる手術と、上まぶたの形を整える手術を受けました。今では右と左の顔の表情にほとんど違いは見られず、元の元気な生活を送ることができました。
 麻痺の程度が強い場合は、神経や筋肉を移植して根本的に治療するときもあります。もし少しでも自分の顔の表情を不自然に感じたり、片方の眉毛やまぶたが下がり気味、目の形がおかしい、左右の口元の動きが違うと思ったら、そのままにしないで形成外科医に相談してください。(山本有平)

イラスト・前橋康博

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